足場は、安全な設置が基本です。
しかし、足場の滑動や沈下によって、その安全性が確保できないことも少なくありません。
また、基本的な防止措置を怠ってしまうと、どのような場所でも滑動や沈下が起こってしまう状況も起こりうるのです。
そこで今回は、足場の滑動はどのようなものか説明したうえで、滑動防止や沈下防止のための措置について解説します。
足場の滑動とは?
足場の滑動とは、文字通り足場が滑ってズレてしまう状態です。
足場は最下層を適切な措置によって固定、設置しないと足場の脚の部分が不安定な状態になります。
それによってズレや沈みこみといった活動や沈下が発生してしまうのです。
このような状態になってしまうと、足場の板がズレて外れてしまうだけでなく、場合によっては足場全体が倒壊してしまうという最悪の状態になりかねません。
足場の板が外れれば作業者の墜落や工具などの物品が通行人に当たるといった災害が発生しますし、倒壊した場合を考えると、その被害の大きさは想像を絶するものになるでしょう。
こういった足場の滑動や沈下を防ぐにはどうすれば良いのか、技術基準などをもとに解説していきましょう。
足場の滑動防止や沈下防止にすべき措置とは?
足場の滑動防止や沈下防止に対して、ガイドラインともいえるものがあります。
それが労働安全衛生規則や仮設工業会の技術基準です。
この二つの規則や基準は基本的な足場の滑動防止や沈下防止について書かれています。
簡単にいえば、適した鋼管の足場を使うようにという指示書のようなもので、具体的には状況に応じてベース金具の使用や敷板、敷角(しきかく)、根がらみといった措置をするといった内容です。
ベース金具は、足場の単管を支える一番下の金具をいいます。
鋼管足場用の部材及び附属金具の規格に合わせて作られたものを使用し、品質の安定したものを使用します。
敷板はベース金具の下に敷く板のことで地面との接地面を広くすることで沈下を防いだり、抵抗となって滑動を抑えます。
敷角は、木材の一種である角材を使用した板です。
こちらも滑動や沈下を抑える重要な部材といえるでしょう。
敷板に比べると、地盤が強固で、沈下の恐れがない場合に保険として使用することの多い部材です。
最後の根がらみは、足場の脚部の支柱が相互に連結された複数の部材によるものです。
これによって滑動や沈下方向に進むのを強力に防いでくれます。
ただ、水平器やメジャーを使って慎重に組んでいく場合もあり、技術が求められる措置といえるでしょう。
作業手順書に見る足場の滑動防止
最後に作業手順書ではどのような記載があるのか簡単に見ていきます。
足場の作業手順書では、問題点の把握と対策、コメントによって滑動防止動や沈下防止を防ぐ試みがされています。
まず問題点の把握として、主脚の単管を固定するベース金具や敷板が用意されているかという点はきちんとチェックします。
そのうえで設置場所や敷板が外れないかどうかを見ます。
対策としてはベース金具を釘で敷板と固定するなど、強力な滑動防止策を挙げています。
ここまでしておけば脚の活動も防げます。
最後にコメントも記載される場合があり、足場の滑動防止策の励行や組立後に再度点検をするようにといった点について書かれることもあります。
このように作業手順書も用意することで、より確実な滑動防止や沈下防止が期待できるでしょう。
まとめ
足場は、不適切な固定をすると滑動や沈下によって足場板が外れたり、足場が倒壊したりといった危険が生じます。
そういったことがないように、安全衛生規則や技術基準によってどのような措置をすればいいかのガイドラインが示されています。
さらに作業手順書にもきちんと注意書きをすること、そして手順書の作業を励行することで予防しています。